動物忌避剤のメカニズム

IPM

IPMでは様々な防除法を組み合わせて利用します。

IPMでは農薬などによる直接的な殺生物法の他に、病害虫に対して 抵抗性を持つ栽培作物の作出などいろいろな方法が取り入られてます。 それらの方法の1つに植物精油成分を用いる忌避法があります。 成虫および幼虫齢の害虫の侵入や摂食、産卵などの行動を制御することで 被害を防ぐ方法を忌避法といいます。 生物がある物質に対して方向性の反応を示すことを走化性と呼びますが、 刺激物質や匂いから遠ざかろうとするのが負の走化性、忌避であり、 これを利用して害虫を防除する薬剤が忌避剤です。 忌避剤の歴史は古いのですが、そのほとんどは経験や伝承的なものです。 「ハッカ畑にはモグラがいない」「シソを植えた畔は犬や猫が通らない」 といった科学的根拠からの忌避法ではなく、先人達の経験による伝承です。 こういった伝承は忌避剤の開発に一役買っているものも少なくありません。 近年増えてきた植物精油等の忌避剤は天然物由来のものですので、 殺虫剤のような薬剤に比べて残留毒性の問題を回避出来る利点があります。 ですが忌避剤は殺虫剤と比べて効果が実感しにくく、使用前と使用後の違いが 顕著に表れにくいことからそれほど浸透していません。 環境や安全性を考慮した場合には殺虫剤よりも忌避剤のほうが利点も多いので、 今後はその認識を持った方による使用が増えると考えられています。 精油に含まれる忌避活性成分の多くは揮発性のものであり、揮発性が高ければ 忌避効果高くなります。 そして残効性が低く環境中に残りにくいという長所もありますが、 時間の経過とともに有効成分が低下することで長期間効果が持続しないという 短所もあります。 こういった欠点を補うべく、いくつかの有効成分を組み合わせて忌避効果の 向上を図ったり、徐放性のある薬剤と共に用いることで忌避作用の遅延効果を 誘導するなどの工夫が今後の課題でしょう。